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■電磁波を用いた予知に向けて 太田 健次・井筒 潤
中部大学では電磁波観測による地震の直前予測の研究を行なっています。
地震や火山などの様々な前兆現象の中でも、「電磁波の異常」、特にULF帯・ELF帯といった非常に低い周波数帯(数Hzから数百Hz程度)の電磁波に注目して電磁波の観測と解析を行なっています。右の図に示すように東海地方を中心として複数の電磁波観測点を配備して地震や火山などの地殻活動のモニタリングを行ない、地震や火山の直前予知の可能性を研究しています。
観測結果の一例として2007年3月25日に発生した能登半島地震の前後に観測された電磁波を示します。下の図は中津川観測点のULF帯電磁波観測装置で観測された磁界強度の変化です。横軸は日付、縦軸は周波数で、その周波数帯の電磁波の強度が色で表現されています。赤線で示す能登半島地震の発生の直前に18Hz周辺の磁界強度が上昇しており、地震との関連性を現在調査中です。
■ELF帯(17Hz,223Hz)による地震前兆現象の観測
1.ELF帯観測の特徴畑 雅恭・藤井 隆司
ELF帯(30-300Hz)では、環境の磁界雑音が(pT/√Hz)オーダに低減することを利用して高感度化を実現し、また受信方式の考案により極超低周波数(月周期10-7Hz)の地震電磁波現象の観測を可能としました。この結果、短周期(150秒)前兆の観測に加え、数ヶ月前に発生する極超長周期の電磁波前兆現象の検知が可能となり、地震観測の充実や信頼度の向上が実現できました。
ELF帯観測グループでは、図1のようなセンサを使用して地震や火山活動に伴う地殻異常の研究を行っています。このようなセンサが全国約40箇所に設置してあり、24時間体制で観測を行っています。
観測装置の設置状況(愛知県南知多町篠島)
図1 観測装置の概要
図2 ELF帯223Hzの150秒短周期平均で観測された
福岡西方沖地震M7.0の約2日前に出現した電磁波前兆信号
観測の一例として、2005年3月20日に発生した福岡県西方沖地震と、2009年8月11日に発生した駿河湾地震の2つについてその成果を示します。 図2は、福岡西方沖地震M7.0に際し約120km南の長崎県雲仙市において観測した150秒(短周期)平均の地震発生2日前の電磁波の乱れを示します。
図3は、短周期観測データを線形予測誤差検出により異常信号のみを分離し、本震とM5を越える5つの余震との対応関係を示します。いずれも地震の2日程度の前に電磁波異常が発生していることが確認できました。
図3 短周期観測データの線形予測誤差(異常)と発生した本震と余震との対応

長崎県千々石観測点 ウェーブレット解析結果
図4 極超長周期に現れたより早期の電磁波前兆現象

図5
3.今後の研究に対する期待
短周期と極超長周期の観測により、地震発生のメカニズムに迫ることができ、また観測実績を積み上げることで、他分野の成果とも総合して地震防災に貢献することを目指しています。

